「今月も資金繰りがギリギリ」「融資を受けたいけれど、どこから手をつけていいか分からない」「利益が出ているはずなのに、なぜかお金が残らない」――これは多くの中小企業が抱える悩みです。またここまでひっ迫した状況ではないとしても、「イマイチ会社の数字が分からない」「今って融資を受けるべきタイミングなの?」「新規事業をやりたいけどこのまま進めて大丈夫?」など、さまざまな場面でお金に関わる悩みを持つ経営者は多く、こうした問題を解決しようと、経理スタッフを増やしたり、税理士に相談したりする企業も多いかと思います。

しかし、それでも根本的な解決につながらないことがあります。その理由は明白で、企業のお金の流れを戦略的に設計し、経営判断に活かす視点=CFO(最高財務責任者)の視点が欠けているからです。

本記事では、CFOの役割を中小企業の経営者向けに分かりやすく解説し、さらに「うちにはそんな人材、雇えない」と思われがちな企業でも実践可能な“外部委託という選択肢”について紹介します。

CFOとは「Chief Financial Officer(最高財務責任者)」の略で、企業のお金に関するすべての戦略的判断を担うポジションです。元々は海外で重要視されていたポジションであり、今では大企業では当たり前の存在ですが、中小企業では「そもそもCFOって何をする人?」という認識すら持たれていないことも多いでしょう。

CFOの主な役割には以下のようなものがあります。

  • 資金計画・資金調達の立案と実行
  • 予算の策定とモニタリング
  • 財務戦略の設計と見直し
  • 事業投資の判断サポート
  • 金融機関や投資家との関係構築
  • キャッシュフローの改善
  • 経営者との連携による意思決定支援

ここに社員教育や管理といったマネジメント業務も含め、会社のステージがどのような場合でも共通して期待される役割を持つことはもちろん、上場会社であれば開示書類作成やIRなどの投資家対応、内部統制やリスクマネジメントなどの内部体制の構築、事業拡大を目指す会社であればM&Aや海外進出、新規事業計画立案やIPO準備など経営者の右腕として、幅広い業務を期待されます。またこのようなプラス場面だけでなく、財政的な状況を考えてリストラを行わなければならない、難しい融資を勝ち取らなければならないなどのマイナスの局面であっても、感情論だけでない数字的根拠を持って行動する事がCFOの役割です。

このように単なる「お金の管理」ではなく、企業の“未来を描く”ための財務的な裏付けを持つ判断材料を整え、経営者が最適な意思決定を行えるようにする、そしてなにより経営者の一人であるという点が経理部長などとの一番の違いになるでしょう。

一方、経理や会計事務所の役割は「記録」「計算」「申告」といった業務的な側面が強く、過去の数字を正確に処理することが求められます。過去があってこその現在、そして未来であることは当然のため、このような過去の数値データはとても大切なものですが、これだけでは未来志向の戦略設計には対応していないことが多く、「今後どうすべきか」というアドバイスは得にくいのが現実です。

また、税理士の立場も申告・節税を主目的としており、将来的な会社の経営戦略の策定をサポートしたり、財務戦略や投資計画などの具体的な相談をするには適していないケースも少なくありません。

「ウチみたいな小さな会社にCFOなんて大げさだ」と思うかもしれません。しかし、だからこそCFOのような視点が必要なのです。

資金的な余力が少ない中小企業は、一つのミスが致命傷になりかねません。たとえば、過剰投資、無理な融資返済スケジュール、過小な運転資金など、判断ミスが会社の首を絞めてしまうケースが少なくありません。

このような場面でCFOは、資金の流れを可視化し、どこにムダがあるのか、どこに投資すべきか、何を優先して支払うべきかといった「資金の使い方」を経営陣に提言します。たとえば

  • 今期の資金繰りはどうなるか?
  • いま融資を受けるべきか? それとも出資を募るべきか?
  • 今あるお金でどれだけのリスクが取れるか?

融資(デットファイナンス)か出資(エクイティファイナンス)かという判断は、中小企業で良く出る課題ではないかもしれませんが、このような課題に対して、最適解の判断とと実行の旗振り役として期待をする事ができます。

さらに、経営判断に対して「それを実現するには、どれだけの資金が、どのタイミングで必要か」を逆算的に計画立案できる点も大きな強みです。短期的なキャッシュフロー管理に留まらず、中長期的な成長戦略との整合性を持った資金計画が可能になります。

加えて、銀行との交渉や補助金・助成金の活用、前述したような外部からの資金調達(エクイティファイナンス・デットファイナンス)にも精通しているCFOがいれば、資金繰りの選択肢を広げ、安定した経営基盤の構築に寄与することができます。

このようにCFOの視点があることで、これまで“勘と経験”に頼ってきた経営判断に、論理と数字の裏付けが加わるのです。

もちろんこのようなCFO視点を既にお持ちの経営者の方も多くいらっしゃるかと思います。一方で会社の安定化はもちろん、拡大を考えて経営を進める上で、CFO業務を含めた全ての仕事を経営者が行ってしまうのは、負荷が大きく、なにより時間が非常に勿体ない事になります。経営者がやるべき事に時間を割く事ができる環境を作るのも会社運営にとっては重要なポイントです。

ここまで、CFOという言葉だけが先行してしまうと、「財務の専門家=CFOさえいれば良い」と誤解されがちです。しかし、企業によって必要な専門家の種類は異なります。経理・財務・法務・人事・労務など、管理部門の機能にはさまざまな領域があります。

たとえば:

  • 経理処理や会計制度対応に課題がある → 会計士や経理専門スタッフ
  • 雇用管理や人材育成に課題がある → CHRO(最高人事責任者)や社労士
  • 管理部門全般に不安がある → CAO(最高管理責任者)や弁護士
  • 組織運営の最適化に課題がある → COO(最高執行責任者)

これらの中で、資金調達・資金管理・投資判断における戦略的支援が必要ならば、それはCFOが最も適した人材といえるでしょう。

経営課題が複合的であることが多い中小企業においては、経営者自身が「何に困っているのか」を明確にし、それに対応できるスキルセットを持った経営者の右腕となるべき人材を探すことが重要です。

CAOについては以下の記事も参照ください

ここまで読んで「それは分かるけど、CFOなんて雇う余裕はないよ」という方も多いはずです。たしかに、フルタイムのCFOを採用するとなれば、年収1000万円以上のケースも少なくありません。

しかし、近年では**“業務委託型CFO”や“シェアCFO”と呼ばれる外部の専門家にスポットで依頼する形式**が注目されています。

このような形であれば、月数万円〜数十万円程度のコストでCFOの知見を取り入れることが可能です。経営会議への同席、財務資料の分析、融資交渉の同行など、必要な業務に応じて柔軟に依頼できます。

また、会計事務所や経理代行業者と連携し、バックオフィス全体を効率化する「バーチャル管理部門」のような形も実現可能です。こうすることで、経営者は本業に専念しながら、財務や管理の“見落とし”を防ぐことができます。

実際に、弊社が支援するクライアントの中には、業務委託のCFO+経理代行を導入したことで、赤字続きだった事業が翌期には黒字化したケースもあります。財務体制の整備が、企業全体のパフォーマンスに直結する好例です。

では実際にCFOを外注する場合、どのような形で業務が進むのでしょうか? そして、どのようなメリットがあるのでしょうか?以下に活用方法やメリットを記載します。

主な活用方法

  • 月次決算のレビューと改善提案
  • 資金繰り計画の策定とモニタリング
  • 銀行融資の事前対策と交渉支援
  • 中期経営計画・資金計画の策定
  • 経営者の意思決定サポート

このように日々の経理業務はなるべく内製化させて、その先の業務を委託する事でコストを抑える事が可能になります。

主なメリット

  • 必要なタイミングだけ活用できる柔軟性
  • 正社員採用と比べて圧倒的に低コスト
  • 最新の財務・資金調達トレンドに精通した専門家の知見を活用できる
  • 経営者の「財務面の相談相手」ができる

その他、孤独感を感じがちな経営者の気持ちを理解できるサポーターとしての活躍も期待できます。

CFO外注の検討をオススメする企業

  • 経理や税理士だけでは物足りなさを感じている
  • 融資や投資判断に自信がない
  • 中長期の経営計画を見直したい
  • 財務に強い右腕がほしいが、採用が難しい

このような悩みをお持ちの経営者(企業)では社外CFOの検討を強くオススメします。

中小企業においても、資金の流れを把握し、先を見据えた判断を行うためにはCFO的な視点が不可欠です。また例え社員が10名に満たない人数規模の会社であっても、このようなCFO視点を取り入れることは今後の経営に良い影響を与える事が期待できます。そしてそれは、必ずしも「社内に高給取りのCFOを雇うこと」ではありません。

外部の専門家をうまく活用することで、少ないコストで最大限の効果を得ることが可能です。経営の見える化、資金繰りの安定、成長戦略の明確化――そのすべてを実現する第一歩として、「外部CFO導入」を検討してみてはいかがでしょうか?

今こそ、戦略的な財務マネジメントを取り入れ、持続可能な経営を目指しましょう。


弊社は最終的なゴールを自社での経理業務完結、「経理の内製化」とする会社を全面的にサポートします。経営基盤の構築段階や内部統制の強化といったどのようなフェーズであってもサポートも可能です。
業務フローの見直しや経営者にとって有用な管理会計の構築、既存のシステム利用はもちろん、新たなICTの導入についても一緒に行います。また既存社員の育成や、新たな人材採用に必要な募集要項作成から面接に至るまで、ワンストップでサポート致します。
もちろん内製化の先として、今回ご紹介した社外CFOとしての役割も担います。会社の内部の構築を行ったからこそできる、他社とは一線を画した社外CFOとしてのサポートを提供します。是非一度ご相談ください。